アメリカの医療保険を革新する「Sidecar health」

医療面で国民皆保険制度のないアメリカでは各自が民間の医療保険に加入します。その結果、民間の保険業者はシェア競争の中で顧客の囲い込みをします。たとえば、一部の病院と提携し、手数料などを優遇することで保険が使える病院を限定したりすることも。このような状態は、患者にとっても不便ですよね。また、これはアメリカに限らず日本でも同様に言われていますが治療費の相場がつかめず、事前に料金を把握できないという問題があります。Sidecar healthはこうした問題を解決するサービスを提供し、本来の医療保険制度の展開を目指しています。

Sidecar healthに登録すると医療機関で使えるクレジットカードと専用のアプリが提供されます。アプリでは地図上に各病院が表示され、診察にかかる料金が一目で分かるようになっているため、どの病院が一番お得か把握できます。日本の「食べログ」のように医者の評価も5段階で表示されます。また、従来の医療保険は保険会社が治療費を後払いで支払うため、病院側としては提携先の医療保険に加入する患者か、保険無しで全額支払ってくれる患者しか相手にしませんでした。しかしSidecar healthの登録者が専用のクレジットカードで支払うことで病院側の治療費を受け取れないリスクは無くなるため、全ての患者を受け入れるようになります。

アメリカでは保険制度の問題から年間約100兆円が治療費として過剰に使われていると言われており、Sidecar healthはこれを切り崩すことでシェアを拡大する狙いです。登録者の年齢や持病に合わせて変動する毎月の登録料がSidecar healthの収入になります。数十名の会社ですが2020年1月の時点で累計40億円の投資を受けており、アメリカの11の州で展開されています。今後はアプリで料金を表示できる医療機関の数を拡大し、全米での展開を目標としています。

日本とは市場が異なるので、日本には参考にならないかもしれませんが、このような既存業界をディスラプトするチャレンジはアメリカらしいダイナミックな取り組みですね。

»Sidecar health

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